
4月からはじまったこのブログも5回目になります。ここまでは、理事の4名がそれぞれの想いを綴ってきましたが、私は理事という立場ではなく、タタキアゲジャパンの広報として、日々の活動に関わっています。
といっても東京からJターンし、ここで働くようになったのは、2019年の12月中旬。まだ半年も経っていません。Jターンして間もなく、新型コロナウイルスの感染拡大が広がり、私自身の生活も働き方も二重、三重に変わってしまいました。
ここまでリモートワークが広がると、地方へ移住し、遠隔で都会の企業に勤務するという選択肢も、いよいよ現実的になってきたように感じます。
「”地方に転職したい”都市部の若者に意識広がる コロナ影響か」なんていうニュースもありました。
また、これは、今回の新型コロナウイルス感染拡大前の調査結果ですが、「東京圏の半数が地方暮らしに関心」というデータもありました。
ただ、関心があったとしても、実際に行動に移すにはかなりハードルがあるのが「移住」です。私がJターンする際に考えたこと、そしてJターンして数ヶ月で感じていることが、今まさに、「住む場所」や「働く場所」について考え直している方の参考になればと思い、記憶が新しいうちに、私のJターンの経緯を記します。
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「Jターン」と書いたとおり、もともとの出身地は、いわき市から北に電車で1時間ほどの福島県浪江町というところです。高校の3年間はいわき市に通学していたため、Jターンとはいえ、いわきは私にとっては馴染み深い土地でもあります。もっと広い世界を見てみたいと思い続け、浪江町→いわき市→東京と徐々に南下し、大学卒業後は、都内の企業や大学で広告の営業や広報などの仕事をしていました。
地方へ移住することを考え始めたのは、結婚して1年ほど経った29~30歳の頃でした。そこに至った経緯は、家族のこと、これからの生活のこと、、、本当にたくさんの事情があります。ただ、一番大きな理由は、「本当にこのまま東京に住み続ける必要があるんだろうか?」と思ったことです。東京での生活にこれといって不満があったわけではなく、ここで生活をし続ければそのまま楽しい日々が続いていくことは想像できました。でも、高い家賃、毎日の満員電車、楽しいこと・ものに消費し続ける日々、、、これにこだわる必要って、本当にあったんだっけ?そんな話をポツポツするところから、移住の検討が始まりました。
しかし、さまざまな雑誌を読んだり、イベントに参加したりして、移住に関する情報を集める中で違和感を感じるようにもなりました。移住促進の雑誌や移住イベントに登場して、ご自身の経験をお話してくださる方は、多くがデザイナーだったり、web制作のお仕事をされていたりと、いわゆる「手に職」があり、場所を選ばず仕事ができるような方ばかりでした。もしくは、移住して農業を新たに始めている方とか、起業している方とか。
皆が移住して「地方での暮らし」を楽しんでいるように見えた一方、私たち夫婦は、仕事の経験は積み重ねてきているものの、普通の会社員です。「普通」の私たちが移住して、地方でどんな仕事をして、どんな生活を送るのかはいまいち想像がつかないままでした。
そんなモヤモヤを抱えつつも、まず夫がいわき市内の企業への転職を決め、そこから1年後、ご縁があり私はタタキアゲジャパンの広報として働くことになり、現在に至ります。
引っ越してまだ5ヶ月の私ですが、ここでの暮らしは、想像していた以上に快適でした。
まず、生活について。
東京で暮らしていた頃と比べて、「気持ちの余裕」が生まれたように感じます。満員電車に乗らなくていい。これは意外と大きな変化でした。朝晩の満員電車がなくなるだけでこんなにストレスフリーになるとは驚きです。
それから、休日の過ごし方も変わりました。これまで休日といえば、買い物!外食!たまにアウトドア(でもちょっと腰が重い…)!だったのが、今は車で2~30分走れば、海にも山にも行ける環境です。都会に比べればもちろん買い物できる場所も、外食に行ける場所も限られますが、それ以上に、余暇の過ごし方にバリエーションが生まれ、そんなことはほぼ気にならなくなりました。「つまらない田舎」と思っていた地元には、大人になって自由に動けるようになると、たくさんの魅力があることに気づきました。
次に、仕事について。
「普通の会社員が移住して仕事があるのか?」これは移住前は大きな悩みでもありましたが、今のところはなんとかなっています。とはいえ、東京で生活しながら、いわき市の求人情報を探すのには限界があったことも事実です。当初は、転職サイトなどに登録したりもしましたが、最終的には何度かいわき市に足を運ぶ中で、今のお仕事をすることになりました。転職サイトには載っていない仕事も、現地に行き、そこで暮らす人と話すことで見えてくることがあります。
移住情報誌に載っているような、丁寧な暮らしができているのか?キラキラした地方暮らしができているのか?と聞かれると困ってしまうのですが、今のところはこの生活に満足しています。震災の影響もあってか、東京で暮らしていた頃は、いつかは自分の育った地域に貢献したいという想いも持っていましたが、今は、貢献するなんて大それたことよりも、地道にこの場所で働いていった先に、そんな未来があるといいなと思います。
タタキアゲジャパン 広報
菊池裕美子