面白いプレイヤーが繋がるいわきを、
僕たちの世代でも作りたい

草野 壱成
「いわき若者会議」実行委員長 草野 壱成(くさの いっせい) さん
面白いプレイヤーが繋がるいわきを、<br>僕たちの世代でも作りたい

OVERVIEW intro

数多くの浜魂(ハマコン)登壇者の中から、地域に大きなインパクトを与えているプレイヤーを称える「浜魂アワード2019」を受賞した、草野壱成さん。
高校生のころから地元小名浜のまちづくりに積極的に参加し、高校3年生で浜魂に登壇。現在は、都内の大学に通いながら、「いわき若者会議」実行委員長としていわきと関わり続けています。

「いわき」をフックに若者が繋がる「いわき若者会議」

現在大学3年生の草野さん。「建築」というハード面からまちづくりを勉強し、所属する大学の研究室では、岩手県西和賀町にある温泉街のまちづくりや神奈川県川崎市の空き地の活用などをテーマにしたプロジェクトに携わっています。一方、プライベートでは、2015年に発足した「いわき若者会議」の実行委員長として、「いわき大忘年会」や新大学生向けイベント「CAMPUS LIFE」など、いわきを知り、楽しむためのさまざまなイベントを運営しながら、ソフト面からのまちづくりも実践中です。

「いわき若者会議」で活動しているメンバーは現在9名。いわき出身で都内や県内の大学に通う学生や他県出身でいわき市内の大学に通う学生など、バックグラウンドは様々ですが、共通項は「いわきに関心がある」ということ。直接会って打ち合わせをする機会が少ない中で企画を進めていくのは難しいところもありますが、工夫しながら楽しく進めています。

草野さんが「いわき若者会議」に関わり始めたのは、2017年の大学1年生の夏でした。翌年の2018年には、2年生ながらに実行委員長に抜擢され、同年12月に「いわき大忘年会(仮)〜いわきマシマシ宴多めで。あと企業さんも少々〜」(いわき市主催、TATAKIAGE Japan主管)を運営しました。実行委員長を引き継いだ当初は、プロジェクトの進め方に試行錯誤しましたが、主管であるTATAKIAGE Japanのサポートを受けながら、「いわきで生きるリアルを知る」イベントを一緒に作り上げました。

草野さんが関わり始めた当初の「いわき若者会議」はUターンやIターンに興味がある学生のための情報提供がメインのコンテンツでしたが、実行委員長を引き継いだ2018年からは、よりラフにいわき市の企業と若者が繋がる場、若者同士が繋がる場としての2つの役割を持たせました。「参加者もいわき出身者に限定せず、『いわき』をフックに若者が繋がるきっかけとなる場づくりを目指しています」と草野さん。

実行委員長として2年目となる2019年は、コンテンツの提案から実行に至るまで全ての過程で学生が主体的に動ける団体にしたいという思いで、「いわき大新年会(仮)」の準備を進めました。2020年2月に開催するこのイベントでは、登壇いただく企業の担当者といわき若者会議メンバーとが事前に綿密に打ち合わせを重ね、学生の視点で参加企業の面白さを引き出せるように工夫するなど、コンテンツの充実にも取り組んでいます。TATAKIAGE Japanは、いわき若者会議実行委員会の作り上げたコンテンツの最終確認や、悩んだ際のアドバイス、主催であるいわき市との取り次ぎといった面で運営のサポートをしています。

草野さんは、今後の「いわき若者会議」のあり方についても、「既存の高校生向けプログラムから大学生が運営するいわき若者会議への縦の連携を作っていきたい」という明確なビジョンを持っています。

「運営するイベントへの参加者を増やしたいのはもちろんですが、僕にとっては、いわき若者会議の運営自体が、さまざまなことを勉強できる場になっています。いわきにはすでにいわき生徒会サミットやいわきアカデミア、いわき志塾など中高生向けのプログラムが数多くあります。せっかくそういう場があるので、そことしっかり連携して組織化することで、運営母体として成長させていきたいと思います」

「いわき大忘年会(仮)〜いわきマシマシ宴多めで。あと企業さんも少々〜」(「いわき若者会議」facebookページより)

高校生で「小名浜まちづくり市民会議」に参加

草野さんがまちづくりに関わり始めたのは、高校2年生のとき。特別大きなきっかけがあったわけではありませんが、お父さんの影響は大きかったかもしれないと振り返ります。草野さんのお父さんは、町のお祭りに参加したり、同僚と一緒に小さなお祭りやパーティーをしたりと、「地域に出ていく人」。そんなお父さんと周囲の人たちとの関係性を「すごくいいなと感じていました」と振り返ります。

当時いわき市では、慶應義塾大学の学生がフロプロ(FROMPROJECT)という活動を行っていました。次代の地域社会を担う人材を育成するために、高校生が自らプロジェクトを立ち上げることを通じて、課題解決する力を付けていくプログラムです。そのプログラムに友人と参加した草野さん。そこで、自分の中に眠っていた「まちに関わりたい」という思いに気づきました。

早速、地元である小名浜の「小名浜まちづくり市民会議」に参加。地域住民や企業関係者などステークホルダーが毎回30~40人程集まる会議に高校生ながらに参加し、当時、大型ショッピングモールの進出が計画されていた小名浜で、大型ショッピングモールと既存商店街を結ぶ「汐風竹町通り」を魅力的に作り変えていきたいという提案をしました。

「浜魂」を通して広がった視点「若者も大人も楽しめるまちを作りたい」

まちづくりに漠然と興味を持ち、「小名浜まちづくり市民会議」に参加した草野さんでしたが、そもそもまちづくりとはなんなのか、どのように進めたらいいのか、といったことに悩みはじめます。そんな時に、TATAKIAGE Japanのプレゼン&ブレストイベント「浜魂」の存在を知りました。「もっと繋がりを広げたい」、「小名浜のまちづくりは小名浜でしか考えられていないけれど、このテーマをもっといわき市全体に広げていきたい」という思いで高校3年生の春に浜魂に登壇。「汐風竹町通り」を盛り上げ、魅力的な商店街にするためのアイデアを募集しました。

参加者からは、「大型ショッピングモールを訪れるお客さんを外に連れ出すために、動く歩道を設置しては」、「子どもたちが乗るような汽車を作れば、大人たちもその写真を取るついでに外に出てくるんじゃないか」など面白い意見をたくさんもらいました。

登壇する草野さん ※浜魂ホームページより

その後、小名浜に戻った草野さんは、小名浜まちづくり市民会議でも同じテーマで浜魂形式のプレゼンを実施。小名浜の大人たちとも意見交換をしました。草野さんのプレゼンを聞いた大人たちからは、「建物をリノベーションしよう」など、浜魂と比べるとよりハード面の具体的な意見が多く出て、浜魂同様にとても盛り上がりました。

浜魂と小名浜まちづくり市民会議、2か所でプレゼンをして分かったのは、まちのことを考えているのは若者も大人も同じだということ。

「若者だけが楽しめるまちではなく、大人も楽しめるまちを作っていけたらいいな、その両者をうまく掛け合わせていく役割を自分が担えたらいいな、という思いが芽生えた瞬間でした」

地の利を活かした、学生活動の拠点としてのいわき

その後、東京の大学に進学したことで、小名浜まちづくり市民会議に参加する機会は減ってしまいました。しかし、大学生になってから自身の考え方にも変化がありました。

「高校時代は、小名浜のことだけを考えていましたが、大学生になってからは、東京という都市といわきという地方の関係性の中でいわき全体を見るようになりました。バスで約3時間で日帰りもできる距離、片道約3,000円という手軽さ。いわきという場所には学生利用という価値があるんじゃないかなと感じるようになりました。学生活動の拠点として使ってもらい、夏休みや春休みの長期休暇だけでも、大学生がうろちょろしている町が作れたら、いわきの特徴を活かしたまちづくりとして面白いんじゃないかな、と想像しています」

すでに自身の身近な人たちでそのアイディアを実現している草野さん。所属していた国際建築ボランティアサークルのメンバー約30人をいわきに連れてきて、地元の企業を見学したり、「第25回おでかけ浜魂in常磐」に参加したりもしました。また、出身校の小名浜東小学校の学童と協力して、夏休みに学童生と東京の大学生6~7人で一緒に自由研究をするという取り組みを昨年から始めました。

「大学生に小名浜でボランティアをしてもらいつつ、空き時間は小名浜の街中で遊んでみたり。そういうことを通していわきのことを知ってもらったり、好きになってもらったりするのは嬉しいですね」

いわきの魅力は、面白いプレイヤーがたくさんいること

草野さんがいわきの魅力だと感じるのは、「個人で面白い活動をしているプレイヤーがたくさんいる」ということです。

TATAKIAGE Japanが毎年運営している「実践型インターンシップ」でいわきで活動をした友人と3人で、「官民連携街づくり塾@北九州」というリノベーションスクールに参加したときのこと。そこで草野さんら3人が提案したのは、「いわきにいるたくさんの魅力的なプレイヤーと地元の高校生が交流できる場を作る」というアイディア。それを見た他の地域の参加者から、「いわきにはこんなにたくさんプレイヤーがいるのか」と驚かれました。その時にはじめて、それが当たり前のことではないのだと知りました。

いわきだけではなく、さまざまな地域での活動に参加することで、地域にはプレイヤーが必要だと実感した草野さん。民間の面白いプレイヤーが組み合わさることで面白い地域ができていくのだと感じています。

「僕が、いわき若者会議を通して目指しているのも、そういう面白いプレイヤーがいる地域を僕たちの世代でも作りたいということです。いわき若者会議を一緒に運営しているメンバーやイベントに参加してくれた参加者との繋がりの中から、何か新しいものが作れたらいいなと思っています。いわき若者会議はあくまでも出会う場所。すぐに何かを創り出さなくてもよくて、数年後、数十年後であっても繋がりが続いていった先に面白いことが起こればいいなと思っています」

さらに、最近の草野さんの興味関心は、教育とまちづくり。「高校生がもっと面白い大人と出会える場所をつくりたい」と考えています。

「地域のイベントに参加するだけでなく、運営側になることでその前後での地域の変化が気になったりすると思います。イベントへの参加者を増やすだけではなく、そういう風に楽しんでいるプレイヤーが増えれば、それを見ている高校生が地元でこんな働き方ができるんだと思えるようになるかもしれない。そういう流れを作っていきたいです」

文・菊池裕美子
写真・沼田和真

活用したプロジェクト

いわき若者会議

いわき若者会議

いわきを出た若者、いわきに関心のある若者が気軽に集まることができる場

「いわき若者会議」は、タタキアゲジャパンと連携して、「いわき大忘年会(仮)〜いわきマシマシ宴多めで。あと企業さんも少々〜」や「いわき大新年会(仮)」、新大学生向けイベント「CAMPUS LIFE」などを運営中です。

twitterhttps://twitter.com/iwaki_turn
facebookhttps://www.facebook.com/iwakiwakamono/

浜魂(ハマコン)

浜魂(ハマコン)

「浜通りで本気でアクションする人を地域のみんなで全力応援!」全員参加型のプレゼン&ブレストイベント

草野さんが参加したのは、第9回浜魂(2016年5月18日開催)。当時高校3年生だった草野さんは、「憧れの町・小名浜をつくりたい」をテーマにプレゼンしました。
第9回浜魂(2016年5月18日開催)「憧れの町・小名浜をつくりたい」

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草野 壱成(くさの いっせい)

福島県いわき市小名浜出身。1998年生まれ。いわき秀英高校出身。工学院大学建築学部まちづくり学科3年生。2018年から「いわき若者会議」実行委員長を務める。

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