「i-stepエコノミー」を作りたい!
福祉・介護業界から新規事業を生み出し続ける、i-step株式会社の挑戦

藤井 秀徳
i-step株式会社 代表取締役 藤井 秀徳(ふじいひでのり) さん
「i-stepエコノミー」を作りたい!<br>福祉・介護業界から新規事業を生み出し続ける、i-step株式会社の挑戦

OVERVIEW intro

「全ての人に健康と笑顔と元気を」というミッションのもと、福島県いわき市で高齢者向けフィットネスリハビリ事業・訪問看護・ショッピングリハビリデイサービス、発達障がい児向けの運動・美術・就労準備デイサービスなど、さまざまな事業に取り組むi-step株式会社。代表取締役の藤井秀徳さんは、9年前に地元いわき市にUターンし、i-step株式会社を立ち上げました。タタキアゲジャパンの各種サービスも活用いただきながら、自社の強みを生かして地域課題解決に取り組む藤井さんに、これまでの歩み、そして今後の展望についてお伺いしました。

いわきの高齢者や障がいを持つ人たちの人生を豊かに

ー現在いわき市内で5店舗12事業を運営されているということですね。

 i-stepとしては、高齢者向けのデイサービスと障がいのある子ども向けのデイサービスの2つがメインの事業です。その他、高齢者の訪問看護や介護用品のレンタルなどもやっています。さらに、車の販売、レンタル、リースなどを行う、i-stepモビリティという別会社も立ち上げました。
 将来的には、ここを現在i-stepの利用者である子どもたちの就労先のひとつにすることが目標です。それから、障がいのある方の移動支援サービスにさらに力を入れるために、年内中にNPO法人を作りたいと考えています。

ー高齢者向け、障がいのある子ども向けのデイサービスという2つの事業を柱に、グループ内で利用者の方が循環できるような仕組みづくりをされているんですね。デイサービスという業種では、新型コロナの影響も大きかったのでは?

 子ども向けのデイサービスは2~3週間くらいクローズして、リモートでサービスを提供していました。オンラインで一緒に運動したりダンスをしたりですね。高齢者に対しては、ひたすら電話をかけて安否確認をしました。タブレット端末をお渡しし、機器の設定からサポートして、オンラインで繋いでサービスを提供したりもしましたね。とにかく利用者とコミュニケーションをとり続けるようにしました。それから、高齢者向けには、地元密着型の体操のDVDを作ろうということになって、7月から作成予定です。またこういう状況になっても対応できるように、こういったオンラインの取り組みは、今度も力を入れていきたいと思っています。

事務所の1階にある、ショッピングリハビリ型デイサービス「 i-stepプラス」

地元の魅力を掘り起こし、やりたいことができる環境に変えていく

ー藤井さんがこの道に進んだきっかけを教えてください。

 大学卒業後、リース会社に就職しましたが、3年ほどで退職しました。ずっと続けていたテニスでよく怪我をしていたことから、もともと整骨院をやりたかったんです。リース会社を退職した後は、東京の整骨院で働きました。その後、福島県の船引町にあるクリニックで働き、介護、整形を現場で勉強しながら、郡山市の夜間学校に通いました。14年ほど働いたあと、最終的にはケアマネージャーの資格をとって、38歳のときにいわきにUターンしてきました。そこから、リハビリ系のデイサービス事業をスタートしたんです。

ー会社の公式サイトには、「生まれ育った大切な土地、いわきをもっと毎日を楽しく、誰もがいきいきと過ごせる街にしたい。」とありますね。いわきにUターンし、起業したのも、そのような思いからですか?

 出身は、いわき市小川町です。小学校は分校しかないほどの山奥で、中学から親元を離れて寮暮らしをしていました。大学で東京に出てからUターンするまで、20年近く経っていましたね。山にいればいるほど、外に出たくなるじゃないですか(笑)ただ、ずっと東京にいたくないなという気持ちもあって。また、もともと独立したいという思いもありましたし、なにか地元でやらないとなとは考えていました。
 ただ、語弊があるかもしれませんが、いわきにものすごい愛着があったかというと、そんなになかったかもしれないですね。いわきに愛着を持つためには、自分がやりたいことができる場に、自分で作ればいいのかなと。地元の魅力を掘り起こせばいいんじゃない?みたいな。自分で環境が作れるところだったら、Uターンする人も増える気がしますね。今はおかげさまでいい仲間が増えて、毎日わいわいやってますからね(笑)

いわきで、若い人たちと新規事業を生み出し続けるために

ーi-stepさんといえば、毎年事業を拡大されている印象があります。ビジョンにも、「いわきで活躍する若い人たちを育てる」、「いわきから100の経営者・100の事業を生み出す」ということを掲げられていますよね。

  「毎年、新規事業を若い人たちと創る」というのがうちの会社のコンセプトです。今日もミーティングをしていたんですけれど、「子ども達や親御さん向けのECサイトをやりたい。その収益を子ども向けの次の事業につなげたい!」という提案がありました。そういう新規事業プレゼンのようなアイデア出しのミーティングは頻繁に行っていますね。従業員数は55名程度、平均年齢31~32歳の若い会社ですが、いわき市外から就職してくれた人もいますし、離職率も5%以下と低いんです。面接を何度も丁寧に行うだけでなく、現場のスタッフに面接をしてもらっているのもポイントです。入ってくる人材はだいたいいい意味で尖ってますね(笑)目的をしっかりもって入社する人が多いです。

ミーティングの様子(藤井さん提供)

ー活用いただいているタタキアゲジャパンのプロジェクト、「地域実践型インターンシップ」「プロ人材コーディネート」も、こういったビジョンの実現に繋がっていますか?

 2020年春に「地域実践型インターンシップ」で受け入れたインターン生は、プロジェクトを進める勢いがとにかくすごくて、活きのいい3人でしたね。「『多世代交流型ボードゲームカフェ』で地域の問題解決をする」という課題だったので、新型コロナの影響でその後企画を進めることが難しくなってしまいましたが、現場のスタッフからも「絶対やりましょう!」という声が上がっています。コロナが終息したら、そこを障がいのある子どもたちのトレーニングの場として使いたいと考えています。今もインターン生3名とは、時々連絡を取り合っていて、「絶対またいわきに行きます!」と言ってくれたり、他の企画を持ってきてくれたりもします。また、インターン生を受け入れたことで、これまで繋がっているようで繋がっていなかった企業さんと、横の繋がりができたのもよかったですね。

ー同じく、タタキアゲジャパンのサービスのひとつ、「プロ人材コーディネート」を活用してみて、いかがでしたか?

 「プロ人材コーディネート」事業では、投資業界でのご経験を持つ方をマッチングしてもらいました。2019年12月~2020年2月の3ヶ月で、今後、会社がどう進んでいくべきかという経営課題を一緒に考えながら、障がいを持つ子どもたちの就労支援についての具体的なアイデアもいただきました。最初の1ヶ月でじっくりヒアリングしていただき、それをもとにたくさんの事業戦略案を提案していただいたという流れですね。「どんどん新しいことを進めたいけれどこれでいいのか?」という悩みについて客観的な目線で聞いてくれる、顧問のような方がずっとほしかったんです。
 3ヶ月間でいろいろな目線からアドバイスをくれる方だということが分かったので、プロジェクト終了後も、継続して契約しました。今は、月2回、1回3~4時間程度リモートで打ち合わせをし、事業所ごとの定性目標と定量目標に対する進捗を厳しく確認してもらっています。また、コンセプトのはっきりしていないモヤっとしたアイデアをどうやって地域と密着した事業の形まで持っていくかなど、個別の事業についてもアドバイス頂いています。
 これまで多くの企業を投資という観点で見てきた方からうちの会社はどう見えるか、というのは非常に勉強になりました。こういう方とマッチングして、アドバイスをもらえる機会をいただけたのは、ありがたかったですね。

ーこのほか、タタキアゲジャパンウィークリーオンライン相談室(2020年5月より週1回開催)という、無料の相談サービスにも参加していただきました。

 新しい事業についてアイデアをもらいたいと思い、使わせていただきました。昔からタタキアゲジャパンという団体の存在は知っていたのですが、ちょっと敷居が高いな・・・みたいな感じを受けていました。でも、さまざまなプロジェクトを一緒に進めていく中で、だんだん印象が変わってきましたね。タタキアゲジャパンには、本当に安心してちょっとしたアイデアを相談できます。起業したいとか、経営の相談をしたいとかいう人は、コンサル会社に相談する前に、タタキアゲジャパンに駆け込むという選択肢もあるんじゃないかと。

「i-stepエコノミー」で利用者のフェーズに合わせたサービスを提供したい

ーありがとうございます。最後に、藤井さんの今後の展望を教えてください。

 自分たちの考えているたくさんのアイデアを、「プロ人材コーディネート」でお世話になった方に相談したところ、「それなら、小さくともi-stepの経済圏を作ったらいいですよ」とアドバイスをいただきました。それを現場のマネージャーに伝えたら、「いいですね!」と。現場にも響いたワードだったんです。3月の経営発表会では「i-stepエコノミーを作ろう!」と打ち出すつもりだったんですが、それも新型コロナの影響で開催できなくなってしまいました。
 「i-stepエコノミー」とは、介護や障がいを持つ子どもたち向けのサービスを提供しつつ、i-stepモビリティのようなインフラ的なサービスも展開し、子どもの成長段階など利用者のフェーズに合わせたサービスを自社内で提供できるような独自の経済圏、循環モデル、サイクルのことです。そんな経済圏を小さくてもいいから作れたらなと。
 今は、この考え方が腑に落ちているので、自分たちの経済圏って具体的になにができるかというのを考えているところです。

●Information
i-step株式会社
住所:福島県いわき市平字紅葉町43-4
公式サイト:https://www.i-stepproject.jp/

文・菊池裕美子
写真・奥村サヤ

活用したプロジェクト

浜魂(ハマコン)

浜魂(ハマコン)

「浜通りで本気でアクションする人を地域のみんなで全力応援!」全員参加型のプレゼン&ブレストイベント

≪プロジェクト≫
子供から大人、高齢者すべてが笑顔になれる場を作りたい! 「多世代交流型ボードゲームカフェ」で地域の問題解決をせよ!(2020年2月~3月実施)

インターン生3名は、「多世代交流型ボードゲームカフェ」という魅力的かつ楽しい企画の中で、多くの方を巻き込みながら、そのファンの方たちと一緒にサービスを作っていけるような関係性づくりに注力しました。

また、2020年8月~9月には、「山間部へ出張して高齢者が集う場を作りたい! 福祉専門職がサービスや物資を届けるキッチンカープロジェクト」という新しいテーマでインターン生を受け入れます。

プロ人材コーディネート

プロ人材コーディネート

プロ人材の活用で、浜通りの企業の経営力を強化!

≪プロジェクト≫
障がい者雇用をチカラにして東北一元気なまちを作りたい!
(2019年12月~2020年2月実施)

≪プロ人材からのコメント≫
地域コーディネーターの方々がフィルタリング機能として、間に入って頂いたお陰もあり、ファウンダーの熱意は高いものが担保されていました。そのため、接点を持つにつれて、当方としても、よりコミットしたいという気持ちが高まっていきました。また新たなサービスや、ビジネスモデルは、どうしても東京を中心とした大都市圏に集中していることからも、比較的新しい考え・思考を提案できていることを実感しています。

GIP good impact player

藤井 秀徳(ふじいひでのり)

いわき市小川町出身。1974年生まれ。ORIXオートリース退職後、柔道整復師を取得し医療法人に勤務。デイサービス管理者、ケアマネージャーの管理者を経て震災後独立。トレーニング×買い物×デイサービス。発達障がい×運動・美術・就労準備放課後等デイサービスなど時流に乗ったサービスを組み合わせて地域貢献に取り組む。介護支援専門員・柔道整復師・児童発達支援管理責任者。

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