
2月16日(日)にいわき文化芸術交流館アリオスにて、「いわき地域の復興と未来を考えるワークショップ」(主催:福島県いわき地方振興局、運営:タタキアゲジャパン)が開催されました。
小雨の降る中でしたが、午前・午後合わせて延べ100名を超える方にご参加いただきました。
市民の皆さまのみならず、高校生、県外からいわきを訪れた大学生、ワーキンググループメンバー、運営委員の皆さまなど、さまざまな年齢層、バックグラウンドを持つ方がひとつのデーブルに集まったワークショップでは、皆が自由に意見を出し合い、たくさんのアイデアが出されました。
当日のワークショップの模様を、ワーキンググループごとにご紹介していきます。
■共生ワーキンググループ
[テーマ]
持続可能なコミュニティの形成について
[プレゼン]
いわき地域では、人口減少などの影響で地域コミュニティの存続が大きな課題となっています。
コミュニティを持続可能なものにしていくためにはどうしたらよいか。共生ワーキンググループでは、地域が持続可能であるためには、移住者や交流人口など外からの風が必要だが、それがうまく機能していないのではないか、という仮説をもとに、いわきや双葉郡の復興住宅の現状や、移住してきた方の受け入れ体制など様々なケースをヒアリングしました。
ヒアリングから分かったのが、新しく地域に入ってきた方がそのコミュニティに馴染むため、その地域に愛着を持ち、「自分ごと化」できることの重要性です。
そこから生まれた提言が、「地域にすでに存在している地域コーディネーターに弟子入りし、地域のリーダーとなっていく後継者を育てる『弟子入り事務局』を作ること」です。
[ワークショップ]
ワークショップでは、以下の3つのテーマに分かれ、アイデア出しをしました。
1.あなただったらどんな時に地域愛が芽生えますか?
2.あなたが子どもの頃から今日までの間に、こんな地域コミュニティがあった、もしくはあったら良かった、を教えてください!
3.弟子入り事務局として必要な機能や、運営していくための資金源のアイデア求む!
1.どんな時に地域愛が芽生えるか?というテーマでは、以下のようなアイデアが出されました。
・喫茶店、立ち飲み屋などの「場」があること
・同じ趣味や一緒に何かをした経験、人との出会い、おせっかいな人たちがいること
・お祭りへの参加、地域の歴史を知ったとき、子育てなど家族の思い出、地域の良さを知る教育、交流などの日常がポイント。一方で、震災がひとつのポイントでもあった。震災という非日常と日常が交差するときに、地域愛が芽生えるのではないか
・台風での被災などの悲しい経験をきっかけに地域愛が芽生えることもある
・距離感や規模感が心地よいと感じるとき
2.子どもの頃から今日までの間に、こんな地域コミュニティがあった、もしくはあったら良かったか、というテーマでは、以下のようなアイデアが出されました。
・子供会、運動会、青年会、ママさんバレー、グラウンドゴルフ、将棋、社宅、クリスマス会やハロウィンパーティー、趣味の会、同級会、いずれも困ったときはお互い様といった精神があった。顔が見えるからこそ頼ることができる。顔が見える関係をどう作っていくのかが大事
・少し強制力のあるコミュニティ(町内会・近所付き合いなど)、任意で参加できるコミュニティ(子育てママサークル、スポーツ少年団、運動会、マンション内での活動)の2つがあった
・子どもが地域の大人に相談できる場や地域の中と外の人が関わることのできる場など、普段接点のない人と交流できるコミュニティがあればよかった
・昔は、隣組という比較的強制力のあるコミュニティや青年会、子ども会などを通じてその地域に関わる機会があった。子ども会などは、現在も続いているが、子どもが少なくなってきているという課題もある
・伝統行事の「じゃんがら」は残っている。これからは、伝統行事を復元したり、観光に力をいれて、交流人口の拡大を狙いたい
3.弟子入り事務局として必要な機能や、運営していくための資金源のアイデアについては、以下のような意見が出されました。
・弟子入り事務局の機能としては、情報収集や地域のつなぎ役、居場所的な役割などが考えられる。クラウドファンディングやネット投げ銭を活用し外からの資金を集め、地元のものをリターンすることで、この地域に愛着を持ってもらえるような仕掛けが必要ではないか。また、地元企業に協賛してもらえるようなメリットを作ることも必要ではないか
・弟子を受け入れる地域コーディネーターは、個人に限らず、団体でもよいのではないか。団体の隠れた人材を強化して、内部弟子を育てるということもできる
・色々な分野に分かれている補助金を、うまくまとめて使えるようにしてほしい
[運営委員の皆さまからのコメント]
・ワークショップを通じて、それぞれの世代で持っているコミュニティのイメージが具体化された
・コミュニティはすでにあるものなのに、なぜかうまくいかないというのが課題である。これは誰かにやってもらうものではなく、自分自身が主人公となり考えていくべき内容だ
・「弟子入り事務局」が全国の地域活性化のモデル事業となるよう期待している
・五感で楽しいことを感じることが、地域への愛着に繋がるのではないか
参加者の皆さんの実体験をもとに、コミュニティについて改めて考え、それを持続していくためのさまざまなヒントが得られたワークショップとなりました。
グラレコ:長谷川 久三子